こころを育む総合フォーラム 全国キャラバン2018 IN 長野
長野市PTA連合会西部ブロック研修会
「共生社会を奏でる」~長野ろう学校との交流を通して~

◆日時:平成30年11月3日(土) 14:00~16:30
◆会場:長野市芸術館3階 アクトスペース

城東小学校は2017年公益財団法人パナソニック教育財団の「こころを育む総合フォーラム」で全国大賞を獲得した。今回はその記念行事および西部ブロックの研修を兼ねて開催された。

城東小学校と長野ろう学校との交流授業は41年間(2018年は42年目)続いている。柳町中学校でも45年継続しており、今では交流授業があるのが当たり前の環境となっている。

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子ども達は小学校6年間、中学3年間で定期的な交流や運動会、音楽会の共同開催などを通して、相互に理解を深めている。中には、学校を通したつながりだけでなく、個人的なつながりにも発展している子ども達もおり、それぞれに違いを認めて、耳が聞こえないといった障がいも個性の一つで、他はみんな変わらない1人の人間として接することを当たり前のこととしている。これは40年の成果でもあり、子ども達、先生、保護者、地域の方々の努力が評価されたことに他ならない。

本会は2部構成で、第1部は活動報告・発表、第2部はパネルディスカッションが行われ、すべての内容が手話通訳付きで行われた。

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活動報告の中では城東小学校が41年間の取り組みを紹介。その成果の一つとして、城東小学校とろう学校の子ども達によるダンスが行われた。その息の合った踊りに手拍子を誘われ、会場も1つとなった。

また、柳町中学校の発表では昭和49年からはじまる交流の歴史、今年の運動会での様子が生徒から紹介され、残念な結果だったが目標に向かって一緒に頑張ってきた経過がとても大事だったと語られた。

他生徒がろう学校の生徒からの手紙を代読する際には読みながら声が震え、今にも涙を流しそうであった。このことは、まさに子ども達の交流はこころの通った交流であり、上辺だけのものではないことを語ってくれていた。今年度の交流の締めくくりは、ろう学校の生徒に感謝を伝えるためにBBQをみんなでしようと計画中だとか…。

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第2部は、パネルディスカッションでパナソニック財団の相川良子氏がコーディネーターを務め、パネラーには城東小学校の冨岡隆二先生、ろう学校の宮下紀子先生、前PTA会長の古澤潤さんが招かれていた。

それぞれの立場から、交流の難しさを語っていただいた。やはりはじめはコミュニケーションを取ることの難しさはあったようだが、時間をかけることで、少しずつお互いが歩み寄り、いつしか普通に話しをするようになる様子や、今ではリレーの選手選考もタイムで公平に決めるまでに相互理解が進んでいる現状が紹介された。

また、40年を越える交流の始まりは、一人の保護者の願いからだったらしく、会場外に設置されていたポスターにもそのことが紹介されていた。その願いとは「保育園では交流保育があり小学校でもできないか?」という小さな願いからだった。思いの根底には隔離された社会(ろう学校)にいるよりも、社会にでて生きていく時間の方が長く、何より困るのはコミュニケーションをとることで、多くの人と接する機会をお互い持っていた方が子ども達の将来のためになり、共生社会につながるのではないか? というもので、今ではその願いの種は花開き、子ども達の異なる調べはハーモニーを奏でるまでに至っている。

最後に児童会長の宮本眞衣さんが、2020東京オリンピック・パラリンピックや、20年前の長野オリンピックから交流の輪が広がっていることを喜びつつ、それ以前から行われている自分たちの活動に誇りに思っていることを述べた。

そして、こうした長い交流の歴史は自然な交流として定着し、相手を思いやり、理解する心を育む種となっており、その種が花開きいつか共生社会の醸成の一助になることや、40年の節目を越え、新たなスタートラインとして50年・100年と続く活動となり、共生社会の実現に向けて手と取り合い進めて行きたいと、願いを語って締めくくられた。

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