2018年1月22日

長野商工会議所では、2017年より「長野市大人と子どもの心得八か条」を推進し、地域全体の公共心、道徳心向上に関する事業の実施を行っています。長野市PTA連合会(以下、市P連)は推進へのご協力に対する御礼を行い、あわせて今後の教育の在り方について懇談しました。

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【参加者】
長野市PTA連合会 大矢会長 花崎副会長 石坂副会長 南沢事務局長
長野市商工会議所 教育問題特別委員会 鷲沢幸一委員長

大矢会長:本日はご多用のところお時間を頂戴しありがとうございました。また、日ごろから教育へのご理解、ご協力をいただいておりますこと、深く感謝申し上げます。今日はよろしくお願いいたします。
鷲沢委員長:よろしくお願いします。
会長:2018年も引き続き「長野市大人と子どもの心得八か条」の推進にご協力いただきたいと思います。
委員長:今後も継続する予定です。配布して終わりではなく、継続することに意味があると思っています。
会長:今年度の市P連ではキャリア教育にも目を向け、子供の自立や主体性についても考えてきました。「社会」を意識した教育について商工会議所様にもご協力いただきたいと思っています。
委員長:「教育」という大きな枠では人それぞれに考えることが違うと思いますが、当委員会では3つの事を大切にしたい。
まず一つ目は各家庭での基本的な教育が原点であると思っています。八か条の内容はまさにそのまま社会から必要とされている人間性の基本的な部分だと思います。二つ目はキャリア教育です。子ども達が仕事や社会を直接感じながら将来を考え学ぶ環境が必要だと思います。三つ目は親が教育に携わることが出来る社会環境の構築です。企業としても、親が参観日などの学校行事に参加しやすい仕組み作りが求められていると思います。
会長:その通りだと思います。商工会議所として取り組もうと委員会を立ち上げた理由があれば教えてください。
委員長:北村会頭(※1)の想いもありました。「しつけ」を大切にしたいと考えています。
※1長野市商工会議所 北村正博会頭
会長:社会が変化する中で家庭の在り方も変化しています。共働きの家庭が当たり前の時代において社会がどのように子育てを支援するべきだと思いますか。
委員長:現代は人手不足と言われています。労働人口の減少、少子高齢化が進む時代の中で、企業側も主婦やパートの確保が必要になっています。託児所を設ける企業もあるのですが、一企業だけでの運営には限界もあります。地域企業が協力したり、企業が多く集まる地区では一体となって協力できないか模索しています。
会長:教育とは、子ども達が社会に出ていくための力をつける、基礎的な部分だと思います。「生きる力」を育てる上でお考えがあればお聞かせください。
委員長:先ほど申し上げたように八か条の内容がまさに基本です。最近ではこの基本さえおろそかになりがちで、ここ20年ほどで親の意識も低下していると感じています。しかしながら急に意識を変えるのは無理だと思いますので、今後も継続してコツコツ積み重ねていくことが大切だと思います。
会長:時代の変化、特に社会情勢の変化による教育への要望もあると思いますが、キャリア教育の一環として商工会議所とPTAで協力できることはありますか。
委員長:学力は学校が中心でなければなりませんが、「しつけ」の部分は学校以外で出来ると思いますし、家庭や地域が率先して取り組まなければならないと思います。昔はそういった教育を地域コニュニティーとして協力しながら担っていましたが、近所付き合いが希薄になる中で子どもが育つ地域環境も変化しています。例えば子供が悪いことをしたときに近所のお年寄りが叱ってくれる時代もありましたが今は違います。しかし、「昔はこうだったから戻しましょう」というのも無理で、新しいコミュニティーのあり方を模索しなければならないと思います。企業としてもこれだけネット社会が進んでいるのに、インターネットの無い時代のやり方をいつまでも続けていくのは無理な話です。ネットの繋がりを排除するのではなく、それを前提とした社会を考えながら教育をしなければならないと思います。
会長:具体的な取り組みや協力できることがあればお聞かせください。
委員長:京都では、京都市と教育員会、地元企業が協力して、廃校を利用した職業体験施設を運営しています。(※2)教室を改装してそこに企業が模擬店をだし、小中学生はそこで職業を体験しています。そういったキャリア教育の推進は企業も協力して出来れば良いと思います。
※2『京都まなびの街生き方探究館』
京都市が進める生き方探究教育(キャリア教育)の中核を担う学習活動である「京都市スチューデントシティ・ファイナンスパーク学習」の取組が評価され、文部科学省「キャリア教育優良教育委員会、学校及びPTA団体等文部科学大臣表彰」を受賞。
時代の流れに合わせて「しつけ」も大切にしなくてはならないが、いろいろな考えを持つ人がいるなかで、いろんな切り口を提示する必要があると思う。商工会議所としてもこういったPTAと話をする場を作り、さらには学校を巻き込んだ協力体制の構築を長い目で見て考えたいと思います。
会長:時代が変わる中でPTAの役割も変わりつつあります。活動への賛同を得るためにももう一度PTAとして取り組むべき方向性を考えていきたいと思います。今後もご協力よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
委員長:ありがとうございました。

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鷲沢委員長は、長野市PTA連合会の会長をお務めになられた経験があり、和やかな雰囲気の中で懇談することができました。新しい学習指導要領では、「知識及び技能の習得と思考力、判断力、表現力等の育成のバランスを重視する現行学習指導要領の枠組みや教育内容を維持した上で、知識の理解の質をさらに高め、確かな学力を育成する」としており、「知・徳・体にわたる「生きる力」を子供たちに育むため、「何のために学ぶのか」という学習の意義を共有しながら、授業の創意工夫や教科書等の教材の改善を引き出す」としています。これらを含め「主体的・対話的で深い学び」が現代の教育には求められており、PTA会員も方向性を理解しながら教育を支援しなければなりません。
この会談では、一番身近な保護者だからこそ、子ども達の健やかな成長と幸せな人生を願いながら寄り添っていくことができるのではないかと感じました。とかくPTAは活動に目が行きがちですが、その本質の部分をしっかりと探求し、継続していくことも必要だと思います。